感動すべき妊娠。妊娠によって女は一人前になる。妊娠は女だけの特権!

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恐るべし妊娠!
出産前夜の姉が、 「ほれ、これが妊娠線」と言って見せてくれたハラには、くろぐろとしたイナズマ模様がくっきりと走っていて、私は気絶しそうになった。
それだけでも充分衝撃的なのに、翌日の早朝、まだ空が白々と明けはじめたばかりのころ、私と母の寝ていた居間に、隣室から姉がガニマタで入ってきて、
「お母さ〜ん、破水しちゃったみたい」 と言うではないか。
お産の直後、ひとり産院のベッドに脱力して横たわる姉に、私は最も聞きたかったことを聞いた。
「やっぱ切った?」 「切った切った。でも、もうその前からあんまり痛すぎて、いつ切ったのかわかんなかったよ」 さらに、会陰は切ったけれど、肛門のほうまで裂けてしまって、
「おしっこの度にめちゃくちゃシミる。痛いのなんのって」 と顔をしかめた。後略
いかがですか。面白い内容と思いませんか。原稿を読んだとき、思わずその面白い文章に吹き出してしまいました。しまいには感動してしまいました。編集者

本文70% 著者profile

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まえがき
前略
破水というのは普通赤ちゃんがいざ出てこんというときに起きるもので、羊水が潤滑剤の役割をするのだが、姉のように先に破水してしまうと難産になるのだと教えてくれた。
私の頭の中では、キシキシときしみながら産道をこすりつつアカンボが降りてくるイメージが湧いた。
ゾーッ。姉は難産でヘロヘロにもかかわらず、
「お産の最中は、彼に肛門を押さえてもらってさ」
花も恥らう女子大生の私に、恐ろしい話を次々と聞かせるではないか。(これほど面白い描写を編集者は初めて見た)
なんてコワいんだ!お産は……。日本に帰った私は、大学の友人たちに、
「陣痛のときは、だんなに肛門を押さえてもらったけど、結局生まれるときにはバリバリ裂けちゃったらしいよお」
としたり顔で報告し、友人たちを震え上がらせたことは言うまでもない。
お産というものを身近に体験したのは、この時が初めてだった。お産とは、なんとまあすさまじいものなのか。

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妊娠8〜11週

● 3ヶ月目 妊娠線を予防しよう
妊娠8週目に入った私はまず、妊娠線予防のためのクリームを購入することにした。妊娠が分かって以来、10年前の恐ろしい姉の割れたハラがフラッシュバックする。といっても、いったいどこにそういったものが売っているのか見当もつかない。 妊娠3ヶ月に入ったある夜、夫・ドン(ドン・ヘンリーと自作パソコン好きの4?歳。妻が妊娠してわかったこと:子供の成人式は俺ってもしかして60過ぎ?オーマイガーッ)といっしょにインターネットで「妊娠線予防クリーム」について検索してみた。
ネット通販している予防クリームのHPを探し出し、
「お、これだこれだ」と画面をスクロールしていくうちに、私とドンはピタッと黙り込んでしまった。
「これが妊娠線です」と説明が添えられたパツパツニンプのお腹のアップ写真が掲載されていたのである。もちろん、クリームの宣伝のHPだから、これを塗らないとこうなっちゃうよ〜!くらいのつもりで、その写真を掲載しているのであるから、妊娠線もかなり激しいバージョンなのだと思われる。それにしても、そのハラは怖かった。姉の実物を見ていた私でさえ、言葉を失ったのだから、隣で見ていたドンの衝撃度はもっとすごいに違いなかった。
「ショックうけてるでしょ?」
「うん……」
「こうならないために、クリーム塗らなくちゃいけないんだね、うん」
「そうだね……」
ドンは息も絶え絶えである。
それまでも、お産に立ち会ってほしいと早々と宣言している私に遠慮してはいるが、ドンは「血が怖い……」とことあるごとにつぶやいては、お産に立ち会いたくないことをさりげなくアピールしていた。車やパソコンなどモノ好きな彼は、そういうナマっぽいことが嫌いなんである。お産までの日々の間に、彼をどう改造するかは、大きな課題となっていた。
「こんなハラくらいでビビってちゃだめなんだよ!お産するっていうのは、たいへんなの。お姉ちゃんなんか、ダンナにお産の最中、肛門押さえてもらったんだからね!」
彼はエッと驚いて、
「そんなにまでしても、離婚しちゃうんだ……」と蚊の鳴くような声でつぶやいた。そう、姉はその後離婚したのだ。が、それはこの際関係ないことである。中略

不摂生で不妊寸前?
どういうお産をするかのハウツーのことばかり書いてきたけれど、妊婦の気持 ちというのも、あの時期だけの特有の高揚感があって面白いものだ。
話が前後するが、妊娠にいたるまでのことをちょっとここで書きたいと思う。
実は、私は子どもがそろそろほしいな、と思ってから待望の妊娠を迎えるまで には、ちょっとばかり時間がかかった。なにしろ、そのころには、20代の不摂生 がたたって、ホルモンバランスが崩れることでうまく排卵しない、多嚢胞性卵巣 症候群(PCO)という堂々とした不妊症一歩手前になっていたのである。
これは、うまく排卵しなかった卵子のカラがネックレスのようにつながって卵 巣の中に残ってしまうものらしく、薬を服用することなどで直るのだが、それで もなかなか排卵がうまくいかないやっかいなケースもあるらしい。
私がPCOだと分かったのは、妊娠が判明する数カ月前のことだった。生理不 順はいつものことで、なぜだかわからないのだが、そのときは、妊娠検査薬を試 した結果が陽性になったのである。私は妊娠したぞぉー!と喜び勇んで婦人科 の門を叩いた。
最近の検査薬の精度はかなり高いと聞いていたので、すっかり妊娠した気分に なっていた私は、病院に夫のドンまでひっぱってきて、子どもの名前まで考え始 める暴走ぶりだった。
ドンはといえば、私とはちょっと温度差があって、
「ほんとかなあ、ほんとに 妊娠してるのかなあ」とかいいながら、なんとなくまだ現状を認識できていない ようだった。私たちは、子どもができたらいったいどう生活が変わるのだろう、 私たちに育てられるのだろうか、というようなことを話し合っていた。ところが 診察室に入り、超音波の画面を見ている先生が、
「たまごが見えませんねえ」
と言うので、頭が真っ白になった。
「理由は3つ。まだ小さすぎて見えないか、子宮外妊娠などで子宮の中に受精卵 がないか、検査薬そのものの間違いか」
改めて、また検査が行われた。結果はマイナスだった。しかも、私の卵巣には 卵のカラがいっぱいたまっていて、うまく排卵していないことまでが分かったの である。
私は呆然。ドンはそれを聞きとどけると、
「なあんだ。残念だったね」
と一応言って(ほんとはちょっとホッとしてたように見受けられたが)、先に 会社へ行ってしまった。私は排卵を誘発する作用のある薬を処方された。たしか に、もう長いこと生理がなかった。いつものことなので、あまり気にしてこな かったが、そろそろ子どもを、と解禁(!)してからすでに一年以上もたってい るのに、いっこうに妊娠しないのはヘンだなとは思っていた。
すっかり妊娠しているつもりになっていたので、なーんだ、ハラん中は空っぽ だったのか、と思うと、すっかり拍子抜けしてしまった。次の日に会った沖縄帰 りの友人マリちゃんが、私のようすを見て、
「なんか、今日のるるちゃんはまぶい(魂)をどっかに落としてきちゃったみた いだねえ」
と言ったくらいだ。自分でも思う以上に衝撃は大きかったらしく、それほどま でに、存在感が薄くなっていたらしい。
後略

あ、ゴメンナサイ。立ち読み部分はここで終わりなんです。ここまで読んで下さって有りがとうございます。
このあともっと面白くなりますから買っていただけるとすごく嬉しいです。


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著者プロフィール



1969年生まれ
東京外語大学スペイン語学科卒。

大学在学中は、ヨーロッパ各国を放浪。
92年、朝日新聞社に入社、いろいろな雑誌の編集・執筆を手がける。
32才で出産、職場復帰後は子供を保育園に通はせながらのドタバタな毎日。
沖縄とチャングムとキョロちゃんをこよなく愛するラテン系。好きな作家はポール・オースター。













読者感想文

みなさんからの素敵な感想文をお待ちしております。編集部
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わたしは今、臨月の妊婦ですが、本当に参考になる本でした。
出産に対して恐怖感も増した感じがしますが、何よりも感動しました。
期待と不安に日々左右されている妊婦達にとって、勇気を与えてくれる体験談本だと思いました。
この10ヶ月間を宝物だとるるさんは表現していて、本当にそうだなあとおもいます。


違う人になったドン、大きな古時計歌っていた日々の回想シーンなどなど、 読みながら号泣してしまいました。

わたしの妊婦生活はだんなとの喧嘩ばかりで泣いたり笑ったりいらいらしたりで、決して順風満帆なものとは程遠く、 母親教室などで会う妊婦さん皆が幸せそうに見えていました。
それでも、いつか、るるさんのようにこの妊娠期間を振り返る時、 幸せに懐かしく思い出せる気がしました。
まだ、予定日まで少しあるのですが……。


リアルタイムにこの本に出会えて、よかったとおもってます。 これからも執筆に子育てにがんばってください。 応援しています