著者は現存する一切の宗教は錯覚の偶像だと嘲笑し、 「真実の宗教とは、宗教であってはならない」と激しく説く。
 既存の宗教への断罪ぶりは実に激越の限りであり、時代 批判精神を欠如したもの、組織ゆえの権威の是認、そして俗見により宗教は没 落した等々といった具合である。では「真実の宗教」とは何か? それは時代 への厳しい批判者であり、決して妥協することのない反定立である。偉大な革命思 想たるべきだと著者は語気鋭く主張する。
《反宗教的信仰》とは、現代の組織 や文明を超えた人間の《自然》回帰をも含む《神》への道だと言う。いわば 《神》への門として本書が置かれ、したがって《俗神》への否定的衝動に満ち あふれた鋭い人間論を伴っている。
 これは単なる宗教書と呼ぶにはあまりにも不遜な 書である。それでいて、行間に表れている敬虔さは否定できない。過去十余  宗教の没落、宗教界の堕落、神の死を訴える。著者が 鋭く宗教の在り方を責めるとき、不思議とそれは、現代人一般に対する厳しい 警鐘の言葉ともなっている。これほどの自信を、この著者はどのようにして手 に入れたのだろうか。その不敵さの秘密も、本書がくわしく解き明かしている。新しい時代のバイブルといえよう。
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