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コトパンジャン・ダム。インドネシアの地において、日本の「政府開発援助」の一環として、日本の企業の主導により建設されたダム。治水を目的として建設されたそれは、しかし見かけ通りの「善」なる事業の産物ではない。あくまでもそれは企業と政府の利益のために作られたものである。確かにダムの建設は、毎年住民を襲う水害を防ぐが、だがダムに沈む地域に住んでいる人々はどうするのか? 移住するにしても、その分の援助は十分になされているのか? 水害は同時に肥沃な土をもたらしてきたが、それを失えば農業はどうなるのか? そしてダム建設により生まれた利益はどこへ流れていくのか? 住民の訴えもむなしく、政府と企業の都合のもとダムは建設された。一体誰のためのダムなのか? 一体何のためのダムなのか? 著者は、援助の名のもとに人々が苦しんでいる現状を、豊富な資料を駆使して告発する。一体援助という名、善という大義のもとに何が行なわれているのか。一つのダムの話に始まった本書の視野は、そこから世界全体に関わる問題へ拡がっていく。 世間で国際支援が叫ばれる中、その美名に隠された「裏」を考えるきっかけを与えてくれる一冊である。レビュー作者 真悠信彦