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作家の石原慎太郎氏とソニーの会長であった盛田昭夫氏が著した『「NO」と言える日本』は、国内外に大きな衝撃を与えた。しかしこの本に対するアメリカ人の評価は極めて低い。反米一辺倒の偏った内容なのでアメリカ人が低く評価するのは当然であろう。しかし日本人である私も、『「NO」と言える日本』シリーズは駄作だと思う。 極めて情緒的、感情的な記述が多く、特に技術的な記述については、著者が科学技術に対して全くの素人のせいもあり、非科学的で事実とかけ離れたでたらめな説明が多い。一目見ただけで全くの素人が書いたと分かるような内容だ。 『「NO」といえる日本』シリーズでは企業、特に大手メーカーなど生産者の立場からの意見が目立つ。 消費者や労働者の保護という視点が完全に欠落しているのだ。アメリカを非難する事によって、如何にも強い者に立ち向かっているかのように見せかけてはいるが、単に経営者の味方であるに過ぎない。

前書き 目次

あとがき 感想BBS 著者profile 推薦
Copyright (C) 2007 明窓出版, All rights reserved













古舘 真著





「NO」と言える日本への反論





明窓出版



















推薦の言葉
●●●●●推薦の言葉の中身●●●●●

































まえがき

>作家の石原慎太郎氏とソニーの会長であった盛田昭夫氏が著した『「NO」と言える日本』は、国内外に大きな衝撃を与えた。しかしこの作品に対するアメリカ人の評価は極めて低い。反米一辺倒の偏った内容なのでアメリカ人が低く評価するのは当然かもしれないが、私も『「NO」と言える日本』シリーズは駄作だと思う。
極めて情緒的、感情的な記述が多く、特に技術的な記述については、著者が科学技術に対して全くの素人のせいもあり、非科学的で事実とかけ離れたでたらめな説明が多い。一目見ただけで全くの素人が書いたと分かるような内容だ。 後略
























目次




第一章過大評価された技術
リニアモーターカーは無用の長物………………10
第五世代コンピューター………………15
建築精度に対する勘違い………………18
巨大土木技術が象徴する日本の愚かさ………………21
日本の半導体産業の実力………………25
NIESや韓国の製品は劣っているか?………………29
ロボットの功罪………………32
次期支援戦闘機………………36
宇宙開発の無駄………………41
日本式生産方式………………44

第二章脱工業化の遅れ
全ての製造技術が必要か………………47
頻繁なモデルチェンジの功罪………………50
ハード偏重主義………………53
製造業に対するこだわり………………58
環境後進国日本………………63
オフィスと工場の生産性………………65
情報産業の遅れ………………68

第三章 日本の技術が抱える問題点
技術ナショナリズム………………73
戦艦大和と日本の技術………………76
数字のからくり………………80
工学に対する勘違い………………83
独創性を認めない風土………………85

第四章 会社員の実態
日本人の労働意識………………89
労使協調で失ったもの………………92
教育の質に対する過大評価………………95
「働かせすぎ」を改めろ………………99
終身雇用の是非………………102
会社共同体という幻想………………105

第五章 企業と社会
十年先を見て意味があるか?………………109
社会より企業が大事か?………………111
資本と経営の一体化による弊害………………113
M&Aに対する誤解………………116
消費者の特殊性………………118
公平ではない消費税………………122
松下幸之助は本当に立派か?………………125
日本の建築物の欠陥………………127

第六章 幼稚な対米意識
不適切な規制………………131
フェアでない日本企業………………134
資本財と消費財………………137
正義と正当の違い………………140
善悪と優劣の混同………………143
禁酒法は間違っていない………………145
病める大国「日本」………………147
狙い撃ちされているという思い込み………………152
対米依存経済を改めろ………………155
日米構造協議に対する過剰な反応………………158

第七章 歴史に対する認識
長篠合戦と鉄砲戦術………………161
南京大虐殺の真実………………163
原子爆弾の投下と人種差別………………166
誰がアジアを開放したのか?………………168
仕掛けられた戦争という嘘………………172

第八章 文化論を検証する
一枚岩ではないアジア………………176
文化と無関係な日本式経営………………178
時代遅れの問屋制度………………181
「宗教に寛容」という勘違い………………183
過渡期にあるアジア社会………………186
和の精神………………189
欧米とアジアの差別………………193
欧米とアジアの犯罪事情………………196
集団主義の由来………………198

第九章 愚かな経済論
アジア経済が破綻した理由………………201
今のままでは日本は十年もたない………………204
ゼネコンと住宅産業の混同………………206
アジアに不釣合いな巨大プロジェクト………………209
日本式経済とは何か?………………212
農業はどうなっても構わないのか?………………215


























第六章 幼稚な対米意識





不適切な規制
石原慎太郎氏は、「日本はアン・フェアだ」というアメリカの主張に対して、『「NO」と言える日本』の中で次のように反論している。
[アメリカ側が日本に対して、アン・フェアだと声を大きくすればするほど、私としては、少し冷静に考えてほしいと主張したくなるのです。たとえば、私とアメリカの商務長官との間で激しくやりあったことがありました。不本意ながら、アメリカ側業者にすでに方針の決まっている羽田二期工事の一部分で参入を認めることになりましたけれど、そのお礼もかねてベリティー商務長官が来日したときのことです。私はこんな混乱をまき起こすようなことは今回限りだ、と釘をさしました。
アメリカ議会は、大型建設プロジェクトへの工事参入について日本が閉鎖的になっていると非難していましたが、しかし実際のところアメリカの建設会社で、日本のライセンスを取得していたのは一社、申請中を含めても合計二社だけしかなかった。日本の壁が厚いからと弁明してましたが、どこの国でも外国で仕事をしようとするなら、その国にはそれぞれの事情はつきまとうものだと思う。](P74)
日米関係について冷静に考えなければならないのはアメリカ人より、むしろ、石原慎太郎氏をはじめとする日本人の方だろう。
ビジネスについては、どこの国にも個別の事情はあるかもしれないが、それにしても、日本の建設業界と建設に関する基準や検査体制は極めて特殊で異常だと言わざるを得ない。
日本の社会の閉鎖性に関しては、外国企業に対して排他的というより、新規参入業者に対して排他的と言った方が正解だろう。例えば、コーラのシェアでは、コカコーラやペプシコーラをはじめとするアメリカ企業が日本の市場を圧倒している。日本人の中には、「コカコーラでなければ駄目だ」という人が少なくない。逆に日本の企業が日本のコーラ市場に参入しようとしても難しいだろう。だから、必ずしも、日本の規制が外国企業を締め出す事を目的としている訳ではないが、外国人から見ると外国企業を意図的に締め出していると感じるのかもしれない。
私は、中堅ゼネコンである株式会社鴻池組の東京本店建築技術部部長が、来客に対して技術評価に対する不満をもらしているのを聞いたことがある。「技術の評価や認定を受けるには、単に企業が持つ技術の高さや建設コストだけで決めるのではなく、何平米以上というような工事実績を必要とする事がある。これでは大手が有利になり、中小の建設会社や外国企業が不利になる。中小業者や外国企業を締め出してしまえと言っているようなものだ。外国の奴らが文句を言うのは当然だ」というような事を話していた。全く正論なのだが、日本企業の社員の場合、そのような不満を持っていたとしても公的機関に対して面と向かって文句を言わない習性がある。
このような理由で、アメリカの建設会社が容易に日本のライセンスを取得できない事に対して、技術が劣っているからとか営業努力が足りないと単純に決め付ける事は出来ない。決して、日本政府が外国企業を排除するという目的でやっている訳ではないのかもしれないが、人種差別と言われても仕方のないような状態だ。
日本の建造物については「建設関係の基準が世界一厳しいから、安全性が高い」というような事が言われてきた。しかし、基準が厳しいといっても、検査は形式的にしか存在せず極めて杜撰であり、事実上ノーチェックの状態になっている。そのため、手抜工事や欠陥工事が少なくない。アメリカの住宅では、建築中に十回もの検査が入るそうだ。一つでも検査に不合格だと、次の作業に進めないのだ。日本の杜撰な建築検査とは大違いだ。いくら法律で厳しい基準が定められていても、検査官が実際に現場に来て厳しいチェックをしないのでは、全く意味がない。厳しい基準は単なる努力目標に過ぎない。品質は業者のモラルに頼っている状態だ。実際には、規則が忠実に守られている訳ではない。建設業者と役所の馴合いになっている。
特に建設関係や医療関係などの基準や検査体制の欠陥は、人命に関わる重要な問題だ。日本とアメリカの仕組みの違いを単に文化の違いで済ませる訳にはいかない。検査体制については、アメリカ人から、「お前の国はどうしてそんなにいい加減なんだ」と言われる事が多いようだが、そのように言われても仕方ないのが現状だ。不適切な規制に関しては早急な見直しが必要だ。

フェアでない日本企業
日本の市場は閉鎖的だと指摘されているが、関税の率について国際的な比較をすると、日本の市場は必ずしも閉鎖的ではない。農産物の輸入問題に関しては「米は一粒たりとも輸入しない」というような極端な意見を主張する人もいる。しかし、貿易に関する全体的な数値を国際的に比較すると、超優等生といっても過言ではないような状態だ。石原慎太郎氏はその事を盛んに強調している。しかし、「日本の市場は閉鎖的である」というアメリカの主張は必ずしも言いがかりとは言えない。
確かに、政府間の取り決めに関しては、日本の市場は開放的といっても良いかもしれない。しかし、日本には系列企業間の取引といった閉鎖的な慣習が数多く存在する。アメリカの自動車メーカーのフォードが採用している世界最適化調達とは対称的に、系列内の企業の製品を優先して購入するような場合が少なくない。それが非関税障壁を生む大きな要因の一つとなっている。KEIRETUは英語圏でも通用する言葉になっている。系列は、外国企業の日本への輸出を妨げているという批判も強い。
例えば、大手電機メーカーであるNECは住友銀行系列の企業だ。NECでは通信機やOA機器などオフィスでよく使う機器が主力商品なので、企業との取引額は大きい。住友銀行系列の会社ではNECの製品を優先して購入する事がよくある。
盛田昭夫氏は『「NO」と言える日本』の中で、[日本人が買いたい物がアメリカに少なく、アメリカ人が買いたい物が日本にたくさんありすぎる。](P68)と述べている。しかし、日本人が買いたい物が決してアメリカにない訳ではない。例えば、日本企業のパソコンユーザーの中にはアメリカ製のパソコンやプリンターなどを使いたいと思う人は少なくないが、企業内部の事情で買ってもらえない場合が多い。
NECが製造している旧規格のPC|98シリーズのパソコンはNEC独自規格の製品だ。企業のパソコンユーザーの中には、事実上の世界標準機であるIBM互換機の購入を希望する人が少なくない。PC|98シリーズは他の機種と比べると価格が高い場合が多い。IBM互換機との操作性の違いや互換性の問題で、使うのを嫌がる人も多い。特にパワーユーザーにはそのような傾向が強い。企業のパソコンユーザーの中には、系列などの会社の取引上の都合で仕方なくPC|98を使ってきた人も少なくない。最近では、NECも世界標準規格と称するパソコンを出している。個人ユーザーの中にはNECのパソコンを「二度と買わない。絶対買わない。死んでも買わない」という人までいる。
ある外資系コンピューターメーカーの幹部によると、使用しているコンピューターに不満があっても、同じメーカーの製品を使い続けるのは日本企業だけだそうだ。この話は、「全くその通りだ。いかにも日本的だ」と頷ける話だ。
ソニーの場合はどちらかというと個人ユーザーを相手にしているメーカーだから、盛田昭夫氏は、そのような企業間の取引の事情については気付きにくいのかもしれない。
談合もまた日本の閉鎖性を象徴する悪しき慣習だ。特に建設業界では公共事業の入札などで談合が盛んに行われている。建設業界の中には、「日本人の遺伝子には、和の精神が組み込まれている」などと訳の分からない事を言って談合を正当化する者までいる。アメリカ人からの、建設業界の談合へのクレームに対して、「内政干渉だ。提訴してやる」などと息巻く馬鹿がいるほどだ。談合はゼネコンだけでなく、メーカーも関係している。NECと東芝は、郵便番号識別機の入札で談合していた疑いが持たれている。
官公庁と企業の癒着も深刻な問題だ。防衛庁とNECの癒着が話題になったが、NECの関本会長は「部下のやった事に全ての責任を持たなければならないのなら、総理大臣は全ての責任を持たなければならなくなる」というような発言をして、反省している様子が全く感じられない。「この経営者にして、この部下あり」といった感じだ。
日本には、このように様々な非関税障壁が随所に存在する。欧米からアンフェアだと言われても文句は言えない。日本企業のアンフェアな態度によって損をしているのはアメリカだけでなく、日本の消費者も損をしている。アメリカは日本の消費者の利益を考えている訳ではないかもしれないが、「日本がアンフェアである」という抗議は、結果的には日本の消費者の利益につながる。アメリカの要求は日本の生産者にとっては嬉しくないだろうが、消費者の事を考えると素直に従うべきだ。

資本財と消費財
石原慎太郎氏は、『「NO」と言えるアジア』の中で、日本が資本財の輸出を中止すれば、アメリカの製造業が成り立たなくなるとして、次のように説明している。
[アメリカが市場を閉鎖すると日本も困るが、アメリカ自体はもっと困る。アメリカが日本から輸入しているのはもはや自動車などの消費財よりも、企業の生産活動に不可欠なセラミック、液晶体、エポキシなどなどの人工資源、資本財が圧倒的に多い。つまり日本からの輸入を押え込むとアメリカの企業が困るのです。アメリカのメーカーが日本製乗用車への対抗策として完成させた「ネオン」「トーラス」などの安い価格の車が話題になっていましたが、これも日本の工作機械がなくてはつくれない。しかもその機械をどう使えばどんな曲線が出るかという教育を日本でアメリカ人に行なったうえで、要するに即時稼動できる状態で工場機械を輸出するフル・ターンキーといわれる形でアメリカの自動車メーカーに渡しました。
海外の企業の生産活動に必要な多くの致命的な機械やパーツは日本でしかつくれない。これがアメリカだけでなく世界各国に対して日本の貿易黒字が突出している原因です。中近東の独占産油国が貿易黒字になっているのと同じ理屈とも言える。](P232)
人工資源や資本財や消費財などという聞きなれない専門用語を並べられると、とまどう人がいるかもしれない。自動車や家電製品など消費者が使う最終製品が消費財で、消費財を作るための工作機械や部品などが資本財あるいは生産財だ。
石原慎太郎氏は、日本製の部品が無ければアメリカの製造業は成り立たないと言いたいらしい。
日本は石油が必要だから、産油国に対しては日本が赤字になっていても、文句は言えない。石原慎太郎氏は、人工資源が日本特有の輸出品というような勘違いをしているようだ。日本の製造した人工資源を石油と同じような感覚で考えるのは間違っている。
ここで石原慎太郎氏が指摘した内容と同じような事は東海大学教授の唐津一氏が盛んに主張している。恐らく、唐津一氏から聞いた話を参考にしているのだろう。日本製の人工資源や資本財の輸出を中止すればアメリカの製造業は壊滅するかというと、決してそんな事はない。液晶ディスプレイくらいアメリカのメーカーでも作れるし、日本製に劣らない性能の液晶ディスプレイを製造しているアメリカのメーカーもある。セラミックは軍事用半導体の封入に使われる事があるが、アメリカの半導体メーカーのインテルは、MPUのパッケージ材をセラミックからプラスチックに切り換え始めている。その動きは予想外に早かった。そのため、セラミックを日本のメーカーから購入しなくても困らなくなっている。
液晶で日本のメーカーのシェアが高いのは、液晶があまり儲からないという事が大きな理由の一つだ。ノートパソコンなどで使われる液晶ディスプレイは何万という数の四角い粒から構成されているが、この液晶ディスプレイを構成する一つ一つの粒が半導体だ。液晶ディスプレイの場合、サイズによって違う生産ラインを使う必要がある。これらの理由で液晶の製造は歩留まりが悪い。しかし、MPUのように儲かる部門は欧米のメーカーが占めているので、日本のメーカーが参入する余地が少ない。日本のメーカーとしては、MPUなどのように収益性が高い製品を作りたいと思っているのだが、液晶のような利のうすい製品を仕方なく作っているというのが実態だ。


あ、ゴメンナサイ。立ち読み部分はここで終わりなんです。ここまで読んで下さって有りがとうございます。
このあともっと面白くなりますから買っていただけるとすごく嬉しいです。



















あとがき

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著者プロフィール

古舘真(ふるだて・まこと)

一九六四年(昭和三九年)生まれ。
室蘭工業大学工学部建築工学科卒業後、株式会社鴻池組に入社。建築工事現場監督を二年間経験の後、仮設構造物の設計、構造計算に携り、人工知能を駆使しての建物診断システムの開発を担当。建物関係のみならず、経済などに関する専門的な知識を得る。一九九七年、株式会社鴻池組退社。
著書に、「ゼネコンが日本を亡ぼす」(明窓出版)がある。






















本の誕生秘話

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