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【『優良図書選定』の指定を受けた本です】
いきなりの病気宣告と、治療話で始まる異色の海外移住本。定年退職後に女ひとりでニュージーランドに渡った日本人の筆者。でも、暗い話が綴られている訳ではありません。堅実で飾りの無い節約型の生活ながら、異国での奮闘ぶりと普段着のキーウィ(ニュージーランド人)を感じられる一冊です。
日本とニュージーランドは同じ島国ながら、似て非なる国。出会った友人たちとの交流、体験から得たニュージーランドというの国の懐の深さを知ることができます。涙あり、笑いありの語りの中にも、行政・税金・教育・ジェンダー・老後の生活のことなどが鏤められています。定年移住は楽しい話ばかりではないけれど、それが逆に自分発見の鍵となり、日本の暮らしを顧みる貴重なものになるはずです。地に足の付いたありのままの様子、イギリス人の律儀さと南半球の島国の長閑な時間が融合した暮らしの一つひとつの出来事が、きっとあなたの心に届くメッセージとなるでしょう。
あなたもきっと、ニュージーランドに移住したくなるかもしれませんよ。
06年2月23日レビュー作者安井直美

目次 本文70% 感想BBS 著者profile
Copyright (C) 2007 明窓出版, All rights reserved













中島幸子 著





虹の国から


ニュージーランドひとり暮らし




明窓出版



















推薦の言葉
●●●●●推薦の言葉の中身●●●●●

































まえがき

なし

























ニュージーランドひとり暮らし◎ 目次 ◎



一病気・死の宣告・生還…………………………………………………12
救急車に乗る/ふたたびの救急車/医者と患者/死の宣告/アメリカへ
行く/ドクターの診断/アメリカ人の血をもらう

二家を見つける……………………………………………………………29
パットとジョン/ノースショアに魅せられて/家を買う/車を買う

三アランとローレン………………………………………………………39
働き者アラン/なにもかもアラン/ローレンおっかさん

四なぜニュージーランド?………………………………………………47
ロンドンに行く/どこで暮らすか
五モーリンとの出会い……………………………………………………51
ニュープリマスへ/ニュープリマスの日々/モーリンとビル

六公園は自然の一部………………………………………………………65
ニュープリマスの公園/出店のない公共の場所

七プルー……………………………………………………………………70
五〇代の少女/質素な生活でも働くよりはいい/プルーのボーイフレンド

八お葬式と結婚式…………………………………………………………78
お葬式は静かなパーティー/結婚パーティは質素/一皿を持ち寄って

九自然の味…………………………………………………………………85
おいしい野菜、かたい卵/人間もたくましい

十引っ越し好きのキウイ…………………………………………………91
オープン・ホーム/家は自分の城/引っ越しソバは要らない

十一役所とのかかわりは最少限度………………………………………98
住民登録がない/車の免許をとる/戸籍がない/出生届は義務

十二税金は高いか…………………………………………………………107
税率は三段階/政府のお金はタックスペイヤーのお金

十三人の採用と労働契約…………………………………………………112
採用は公募で/業績評価は厳正/転職はフツウのこと/仕事をやめて大学に
行く/自分の生活が大切

十四多民族社会……………………………………………………………123
人種のるつぼ/日本人であること

十五寛容と優しさのある社会……………………………………………132
ヒトと違っていい/違うことはいいこと/他人に親切なキウイ/優しさを行
動で表わす/サンキューと言うのはお客/笑顔が多いキウイ


十六人も機械もノンビリ?………………………………………………145
約束を守らない業者/キチンとした人もいる/銀行のサービスもいろいろ/
テレビ局も故障?/パーキング・メーターもご機嫌次第

十七ファンド・レイジングと古物利用…………………………………159
ガレージ・セール/学校もファンド・レイジング/多い寄付の依頼/粗大ゴ
ミを捨てる/新聞で古物売買

十八スターライト・シンフォニー………………………………………165
二〇万人の楽しみ


十九高齢者たち……………………………………………………………170
若くない店員、若いマネジャー/高齢者への対応/子供と住まない老人/リ
タイアメント・ビレッジ/レストホーム/ブリッジ・クラブ

二十市民とコミュニティー………………………………………………186
クリスチーヌの死/ホスピス/市民に聞く行政/自治体からも意見をきかれ
る/重要な問題は国民投票で

二十一ゲンキな女性たち…………………………………………………200
男性がお茶を運ぶのが原則/女性にはまだ不満がある/実業界で活躍する女
性/政界で活躍する女性/女王の代理/放送界で活躍する女性/女性の活躍
は当たり前/変化は一九六〇年代から始まった
二十二ノビノビと育つ子供たち…………………………………………219
鍛えられる子供/知識の詰め込みよりも大切なものがある

二十三虹の国………………………………………………………………227


























〜お葬式は静かなパーティー〜

この国に住み始めてまもなく、教会で顔見知りだったドリーンという女性が亡くなった。美人で、メイキャップのプロだった、ときいていたが、一度ローレンとそのほか四、五人でいっしょに家に呼ばれてお化粧の仕方を習ったことがある。私は、どだいお化粧にはあまり興味がないほうなのだが、なんでも見てみたい好奇心にかられて、行ってみたのだった。「顔はぬるま湯で洗うこと(しわのよりかたが減る?)」とか、「クリームは鼻の脇から両側へ、ではなく、逆に目尻から鼻の方へ向けて塗る(目尻のしわを延ばす?)」とか、そんなふうなことをいろいろ習った記憶があるが、あとは忘れてしまった。
その彼女が急にがんで亡くなったというので驚いたが、とにかく、ローレンといっしょにお葬式に行くことにした。
「何を着て行ったらいいのかしら?」とローレンに聞くと、「普段着でいいのヨ」と言う。
半信半疑だったが、グリーンのカーディガンにグレイのスカートという格好で行ってみたが、本当に一〇〇人以上来ていた参列者のうち、黒い物を着ていたのは身内の人だけだった。香典も要らない。式場は教会だったが、別に黒白の幕を張るでもなく、記名するところもない。入り口でプログラムを渡されて適当に椅子に座っていると、やがてオルガンの演奏が始まって、牧師の司会で賛美歌を歌う。亡くなった女性の夫、友人などが順に彼女の思い出などを語り、最後にまた賛美歌を歌って終り。そのあと、別室で、友人たちの何人かが持ち寄った手作りのケーキやサンドイッチをつまみながら、グループ、グループで立ち話をして、いつのまにか、三三五五、帰ってしまう。なごやかな雰囲気で、お葬式というよりも静かなパーティといった感じだ。
ドリーンの場合は火葬にするというので、そのあと遺族は火葬場へ行ったが、この国では火葬でも土葬でも良く、また遺灰をどこに撒こうと自由だと聞いた。
もちろん香典返しの必要もないし、挨拶状も出す必要がないから、遺族は楽だ。
私は自分が死んだら、お葬式は必要ないと思っていたが、こういうお葬式ならやってもらってもいいなア、という気がする。
昨年は、モーリンの友達のアリスの夫が亡くなって、そのお葬式にも行った。そのときはドリーンのよりもさらに簡単で、アリスの家の近くにある小さな葬儀場で三〇人ばかりの人が列席して行われた。牧師の司会で賛美歌を歌い、親族や友人が故人の思い出を話したのまでは同じだったが、あとは、めいめい一輪ずつの花を棺の上に置いて、火葬場に向かう車を見送っておしまいだった。

一部の文章については政府刊行物新聞中のコラム『万華鏡』(ニュージーランド雑感その2)から引用した。

〜結婚パーティーは簡素〜

結婚の式は教会でやる人が多い。パーティーは人によって派手にやる場合もあるようだが、それでも、普通の人はホテルなどでの華やかな披露宴などはやらない。
ロング・ベイのビーチのそばに学生たちがボートの合宿訓練などに利用する木造の建物がある。中はかいこ棚のように二段ベッドがたくさんしつらえてあって、あとは食堂があるだけ。むしろ粗末なという形容詞のほうがふさわしいような建物なのだが、ここでよく結婚披露宴をやる人がいる。友人らしい若者たちが入り口の柱やドアに色とりどりのテープや紙の花で飾りつけをして、簡単なパーティをやる。
ウエディング・ケーキなども手作りの場合が多く、ケーキのデコレーションが得意なモーリンは、親戚や友人の子女などのためによくウエディング・ケーキ作りを頼まれていた。三段重ねの大きなケーキに白い砂糖でまわりを塗るのは結構大変な作業で、私もときどき手伝わされたことがある。頂点に飾る人形だけ花嫁がどこかで買ってきたりする。
私の家の隣、といってもアランの側とは反対側の家だが、娘さんは自宅で結婚式をあげ、パーティもやった。私が引っ越してきてまだまもない頃で、隣の家とは交際もしていなかったので、何も聞いていなかったが、ある朝起きて、何気なく窓の外を見ると、隣の家の人が一生懸命ガレージの入り口を飾り付けている。そのうち、ガレージの前にたくさん折り畳み椅子を並べ始めた。やがて、ちょっとあらたまった服装の人々が集まってくる。
いったいなにが始まるのだろうと思っていると、黒い服を着た牧師らしい人が来た。まもなく、玄関から父親に手をひかれた花嫁が出てきて、庭の入り口にあるアーチの前に花婿と並んで立つ。アーチはたくさんの花で飾られている。花婿と花嫁は厳かに誓いの言葉を交わし、指輪を交換し、キスをする……という型どおりの儀式をやり、皆で賛美歌を歌ったあとはガレージの中で立食パーティ。こんなふうにやればずいぶん簡単で安上がりだし、それでいてなごやかで、楽しそうだ。

〜一皿を持ち寄って〜

この国では、ふだんの友達どうしの集まりのとき、たいてい皆が一品ずつ何か作って持って行くのが習慣だ。おかげで、私も本を見ながら今まで作ったことのないケーキを作ることを覚えた。日本から遊びに来た友達は、私がケーキを作るのを見て、のけぞらんばかりに驚いている。「あなたがそんな事をするなんて!」と皆は言う。掃除、買い物は夫の役割、私の炊事は日曜日だけ、という四〇年あまりの結婚生活を送ってきたのだから、皆が驚くのは分かるけれど、私だってやろうと思えばできるのだ、ということをやってみせるのは楽しい。

この国で知り合った友人たちからよく「誕生日のパーティをやるから来て」と招かれるが、そういう時でも、持って行く物がちょっと大きめのケーキだったり、パスタだったり、サラダだったりするだけで、招いた人がすべて用意するとか、外から取り寄せるなどということはやらない。第一、日本のお鮨屋さんのように簡単に出前をしてくれるところもない。せいぜい、ピザの出前が最近ようやく出現しただけだ。主催者はあらかじめ一人一人に「あなたはパン」、「あなたはデザート」、などと割り当てるので、それでフルコースが出来てしまう。みんな車で集まるからアルコールもあまり飲まない、ワインかシェリーを一、二杯、というところ。だからこれもお金がかからない。
そしてクリスマスは、その前後に友達どうしで集まることはあるが、そういうときでも高価なプレゼントなどは持って行かない。クリスマスの当日は家庭の中で家族と祝うのが普通だから、家族のあいだでプレゼントを交換するだけだ。まして、お歳暮とか、お中元とかの習慣はない。だから日本のように暮になると宅配業者が大きな荷物を抱えてあちこちかけ回る、というような光景はまったく見られないし、商店などでも、クリスマスの頃には多少買い物客は増えるものの、日本のデパートのように大混雑になる、などということもない。
それでは経済は発展しないのではないか、という人がいるかも知れないが、いったい、経済発展とは何なのだろう。たくさん物を作ってたくさん売れば、お金がもうかるかも知れないが、そこで作られた物というのは本当に人間にとって必要なモノばかりなのだろうか。ただ、品物が行ったり来たりしているだけという部分も多いのではないのか。儀礼的な品物には心がこもっていないし、もらって困るような物もある。必要な物を必要なだけ必要な人が買う、というのが人間の営みの基本だとすれば、それで満足することはできないのだろうか。必要以上に物を作る結果、国土はゴミだらけになり、空気は汚れ、水は汚染される。生活の向上とはいったい何なのだろう。後略


あ、ゴメンナサイ。立ち読み部分はここで終わりなんです。ここまで読んで下さって有りがとうございます。
このあともっと面白くなりますから買っていただけるとすごく嬉しいです。


















あとがき

●●●●●なし●●●●●
























著者プロフィール

中島幸子

東京生まれ。津田塾大学英文学科卒業。外務省に6年間勤務の後、東京大学法学部に学士入学。
1965年から1993年まで人事院に勤務。退官後1995年ニュージーランドに単身移住、現在に至る。






















本の誕生秘話

●●●●●本の誕生秘話の中身●●●●●























関連書籍の紹介

●●●●●関連書籍の紹介の中身●●●●●
























読者感想文

みなさんからの素敵な感想文をお待ちしております。編集部
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年齢的にも同時代の方だと思います。私もこういう人生を送りたい、人生の一時期に…と思っていた事なのでワクワクしながら読み終わりました。何か光を感じました。楽しかった!(横浜市Y)


大変興味深く読ませていただきました。特に私自身もオーストラリアのメルボルンに3年間留学(熟年子連れ留学)しておりましたので、共鳴するところも多く、「そうだ、その通り!!」という箇所が多々ありました。
オーストラリアとニュージーランドは、地球上で最も近い姉妹国家のようですので、人々の気質が大変似ている点が印象深いです。
私は、N区にも2回訪問しましたし、特に虹の件については、私自身も、何回もそういうシーンに出会い感動したのをおぼえています。
私も、中島さんのように、この3月(2006年)にお留学体験を本にし、出版しました。タイトルは、『おっと、その夢かなえなきゃ』=東京図書出版会=で、子連れ留学のエピソードがぎっしりと詰まっています。 『虹の国から』を読み進めるにつけ、中島さんが、どのような人なのかとても関心が深まり、できればお会いしてお話ししたい思いがつのって参りました。
特にN区でロングステイしたいと考えておりますので是非中島さんのメールアドレスや連絡先を教えていただければ大変ありがたいと思っております。
来年の1月上旬にはオークランドを再訪する予定です。どうぞよろしくお願いします。K.t