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立ち読みなどは下のボタンをクリックして下さい。 上野霄里は岩手県在住の思想家であり、ヘンリー・ミラーを始めとする世界中の知識人たちと親交し、現在も著作活動を続けている上野霄里。本書は1969年に出版、圧倒的な支持を受けたが、その後長らく入手困難になっていたものを、新たに復刊した上野霄里の金字塔である。 本書に著される上野霄里の思想の核心は「原初へ立ち返れ」ということである。現代文明はあらゆるものがねじ曲げられ、歪んでしまっている。それを正すため、万葉の昔、文明以前、そして生物発生以前の、あらゆるものが創造的で行動的だった頃へ戻れ、と、上野霄里は強く説く。 本書はその思想に基づいて、現代文明のあらゆる事象を批評したものである。上野霄里の博学は恐るべきものであり、自然科学から人文科学、ハイカルチャーからサブカルチャー、古代から現代に至るまで、洋の東西を問わず自由自在に「今」を斬って見せる。その鋭さ、明快さは、読者自身も斬られているにも関わらず、一種爽快なほどで、まったく古さを感じさせない。700ページを超すこの大著に、是非挑戦してみていただきたい。きっと何かそれぞれに得るところがあるはずである。レビュー作成者真悠信彦 文庫本(上巻=900円)の立ち読み・ご注文はこちらから
上野霄里 に つ い て ヘンリー・ミラー ──超 人 間 の 体 質── 上野と私の間には、現在に至るまで、幾年間か、文通が続けられてきてい る。そして、その量は膨大なものとなっている。彼からの便り、しかもかなり の長文の書翰だが、それを私が一、二通受けとるのに一週間と間をおくこと は、殆どない。私は、彼と彼の家族の写真を、全部手元に持っている。彼は、 彼の日常生活、原稿、絵画、教育、その他のことについて私に知らせてくれ る。私には、彼の日常生活が手にとるように鮮明に想像することが出来る。 彼の書翰から受ける、もっとも衝撃的な印象は、彼が人間発電機であるとい うことだ。彼は、殆ど、超人間とも呼ぶべき活力と生命力を所有しているよう にみえる。彼は、幼児のように好奇心に燃え、熱中する。何と不思議なこと だ。彼の写真を見るにつけ、わが国の大統領、セオドア・ルーズヴェルトにひ どく似ていると思う。この大統領は、体育や、活動的生活の擁護者の一人であ り、特に、自分の敵に関しては、絶対に妥協を許さず、言葉に衣を被せない発 言の主唱者であった。もし、上野が、権力を掌中に納めるようなことでもあれ ば、セオドア・ルーズヴェルトのように、「大きな棒」を振りまわすことをた めらわない人間になるとおもう。或る意味において、上野は、日本映画によく みかける革命的な武士、いや、もっと正しくは、悟道に足を踏み入れた武士達 を私に連想させる──つまり、無意味な斬り合いに嫌気がさして剣を棄て、確 信に支えられ、その日その日の生活を素朴に過ごしていく人間だけに与えられ ている賢さをもって、殆ど愚者と見まがわれるばかりの素朴な生活に入ってい こうと努力する武士ということなのである。 上野は、自分の行っていること、努力していることに就いては、「芸術家」 という言葉を使うことを好まない。だが、彼こそ、私が、長らく、人生の芸術 家と呼んできている型の人間なのだ。つまり、芸術の最高の形式は、生き方を 通して表現されるということをわきまえている人間であるといいたい。 後略 昭和四十四年五月二十七日
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