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「すべての命は、一つにとけ合っているんだよ」

あなたは年老いて死ぬのが怖いですか?
この物語に出て来る大きな森に住む象たちのように生きられたら、この象たちのように死んでいけたら、ちっとも恐れることはないのだと涙が頬を伝う話です。
干ばつに遭った象たちも、息絶える時にお腹いっぱいであれば、次の世代には大きな森になることができるのです。そしてその森が、次の世代の生きる糧となるのです。
私たちはみな、大きな宇宙のサイクルの一つ。生命の神秘や輪廻の不思議が、象の一生を通じて語られています。
06年2月23日レビュー作者安井直美

目次 本文70% あとがき

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推薦の言葉

象の神秘を、童話で楽しんでください。

映画監督龍村仁


「地球交響曲」第一番に出演いただいたケニアのダフニー・シェルドリックさんから聞いた話をもとに、天外伺朗さんがすばらしい童話を書いて下さいました。
この話は童話の形で書かれていますが、本当の話です。
私は地球に生きる全ての生命が、私達の現在の科学的知識だけでは理解し切れない叡知を持っていると思っていますが、中でも象や鯨は、私達人類の知性とは別種の高度な「知性」を持っていると考えています。象や鯨の大脳は、体に対する大きさ、容積は人類より大きいのですが、その表面に刻まれているしわの深さと複雑さも人類とほぼ変わりません。 後略

龍村仁プロフィール

1940年 兵庫県宝塚市生まれ。
1992年 映画「地球交響曲ガイアシンフォニー第一番」完成。
1995年「地球交響曲第二番」完成。
1997年「地球交響曲第三番」完成。
1999年おおさか映画祭話題賞、受賞。「地球交響曲」第一番から第三番までの制作及び自主上映運動を讃えて。
1999年1月、「地球交響曲第一番」全国1454ヶ所59万人、「第二番」1180ヶ所57万人、「第三番」587ヶ所25万人、合計140万人の観客動員をはたしている。
1999年「地球交響曲第二番」「第三番」の国際版完成。
2000年5月、「地球交響曲第一番」全国1610ヶ所61万人「第二番」1319ヶ所60万人、「第三番」763ヶ所30万人、合計151万人観客動員をはたしている。
2000年5月、有限会社龍村仁事務所を設立。
2001年9月「地球交響曲第四番」完成。
著書「地球(ガイア)のささやき」創元社刊、角川ソフィア文庫刊「ガイアシンフォニー間奏曲」スタジオ・ボイス・ブック、インファス刊「地球(ガイア)をつつむ風のように」サンマーク出版刊、他、編書、共書など多数。

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目次


1かんばつ
2みどりの森
3お昼寝
4つらい旅
5森になったおばあちゃん
むすび
アフリカ象と環境問題(龍村仁監督講演より)

本書の売上げならびに印税の一部はアフリカで象の孤児院を運営するダフニー・シェルドリックさんの基金に寄付されます。
いまでもアフリカでは、象牙目当ての密猟により、多くの象が殺されています。わたしたちが象牙製品を買ったり使ったりしなければ、密猟は確実に減ります。

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1かんばつ
遠い、遠い、アフリカのお話です。
子どもの象の、エレナは、おかあさんやおばあちゃんといっしょに、楽し くくらしていました。
エレナは、太陽が大好きです。緑の草原を走るのも気持ちがいいし、川で 水遊びをするのも、最高の気分です。
ところが、最近、その太陽が、ちょっと強すぎるような感じになってきま した。おばあちゃんたちは、よく空を見上げて、話しこんでいます。
「どうしたんだろう。最近、雨がふらないねえ……」

そういえば、ちょっと前まで、あざやかに青々していた、草原の草も、森 の木も、少ーし、茶色になっています。
エレナのおばあちゃんは、ここいらで一番かしこく、一番知恵がある、と いうひょうばんです。そのおばあちゃんをたずねて、毎日大ぜいのお客さんが 来るようになりました。
「おばあちゃん。いったい何が起こっているんだい?ひょっとすると、か んばつが来るのかな?」
たずねて来る象が、みな同じことを聞きます。
「かんばつって、なあに」
エレナは、おかあさんに聞きました。
「おかあさんも、経験したことはないんだけどね。日照りが、ずーっと続い て、草も木も、かれてしまうことをいうんだよ」
草も、木も、かれてしまったら、象は食べる物がなくなってしまいます。
「……たいへんだ……」

エレナは、とても心配になりました。そんなエレナを見て、おかあさんは にっこり笑っていいました。
「エレナ、そんなに心配しなくても大じょうぶよ。おばあちゃんが、ちゃん とみんなを助けてくれるから。おばあちゃんはね、とてもかしこいんだから。 前の、かんばつの時も生きぬいてきたし……」
エレナは、少し安心しました。
「そうか。おばあちゃんは、かんばつの時どうすればいいのか、知っている んだ」

でも、そんなおばあちゃんの知恵をたよりにして、毎日やって来るお客さ んの数は、どんどんふえてきました。お客さんたちは、おばあちゃんと話し終 わっても、帰ろうとはしません。
前は、十二頭しかいなかった、エレナたちのむれが、たちまちなん百頭に もふえてしまいました。
その、なん百頭もの象が、毎日、毎日、むしゃむしゃ食べるので、そのあ たりの草も、木の葉も、たちまち無くなってきました。
「おなかがへったよー。プルルー」
エレナは、泣きべそをかきながら、おかあさんにいいました。
「もうじき、旅に出るからね。それまでのしんぼうだよ」
そういう、おかあさんも、あまり食べていません。
そんなある日、夜明けとともに、おばあちゃんは、長い鼻を空につき出し て、さけびました。
「プオオー、プルルル。プオオー。さあ、今から旅に出るよ。みんなわたし についておいで」

エレナは、ようやく旅に出ると聞いて、とてもうれしくなりました。で も、これが実は、とても長い、苦しい旅の始まりだったのです。
少し歩いていくと、まだ草がはえているところにきました。エレナが食べ ようとすると、おかあさんにいわれました。
「食べてると、おくれちゃうよ」
小ちゃなエレナは、みんなといっしょに歩くだけでもたいへんです。草を 食べてから、走って追いつくのは無理でしょう。

エレナは、おなかがへっても、つかれても、足がいたくなっても、歩き続 けました。
夕方になると、おばあちゃんはさけびました。
「今日は、ここでねるよ」
たくさんの象のむれが、いっせいに止まりました。ふと気がつくと、象の 数がふえています。歩いている時にも、お客さんはやってきていたのです。
エレナは、とてもつかれていたので、どっとたおれてしまいました。
おかあさんが、鼻の先でやさしくエレナにふれていいました。
「エレナ。明日も歩くんだからね。今のうちに、食べておくんだよ」
エレナは、あわてて立ち上がって、そのへんの草を食べました。草は、色 が変わっていて、ちっともおいしくありません。でも、今食べておかないと、 明日は歩けなくなってしまうのは、わかりきっています。エレナは、なみだを こらえて、まずい草を、やっとのことで飲みこみました。
こうして、エレナたちは、旅を続けました。
毎日、毎日、日の出から、夕方まで歩きました。エレナは、とてもつかれ て、朝になると、「もう歩くのはいや」と、だだをこねました。でも、おかあ さんやおばあちゃんに、やさしくはげまされて、また歩き始めました。
毎日、毎日、森も草もどんどん色を変えて、茶色になっていきます。も う、かんばつが始まっているのは明らかです。
ちょっとでも、緑が残っている森があると、おばあちゃんは、みんなを止 めて、食事をしました。でも、食料は、どんどんへってきました。茶色の草や 葉っぱを食べてい
ると、とてものどがかわきます。
でも、せっかく水飲み場についても、水はほとんど残っていません。
「ほかの動物も来るからね。ぜんぶ飲みほしてはいけないよ」
おばあちゃんは、みんなにいいました。
結局、ものすごくのどがかわいているのに、ちょっと水をなめるだけでが まんしなければいけません。
エレナは、むかし川で水遊びして、楽しかったことを、思い出しました。
「もう、二度とできないかもしれないな……」
おなかがすいて、のどがかわいて、みんなふらふらになっていましたが、 それでも、歩かないといけません。
時々、歩いているうちに、どっとたおれて動かなくなる象もいます。
「立ち止まっては、いけないよ」

おばあちゃんは、とても悲しそうな顔でいいました。みんなが旅を続ける ためには、たおれた象は見すてていかなければいけないのです。
「象はね。おなかがいっぱいで死んでいくのが、本当の死に方なんだよ。お なかがへったまま、死んでいくのは、とてもかわいそうなんだよ」
おばあちゃんは、仲間がおなかがへったまま死んでいくのを、とても悲し がっていました。エレナは、仲間が死んでいくのはどっちみち、とても悲しい ことなので、その時おなかがいっぱいか、それともおなかがすいているか、な んてことはどうでもいいことだと思いました。
おばあちゃんが、なぜそんなことを気にしているのか、さっぱりわかりま せんでした。エレナが、この時のおばあちゃんの言葉の意味がわかったのは、 ずーっと、ずーっと後のことです。




あ、ゴメンナサイ。立ち読み部分はここで終わりなんです。ここまで読んで下さって有りがとうございます。
このあともっと面白くなりますから買っていただけるとすごく嬉しいです。



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むすび


天外伺朗

予感だったのか、それとも希望だったのかは判然としないのですが、数年前から「六〇歳を越したら童話を書く」と思っていました。
いままで、ノンフィクションは何冊も書いてきましたが、永年、技術者、あるいは大企業のマネジメントとして生きてきた私にとって、童話というのは突拍子もない話です。
あるパーティーの席上、この予感についてふともらしたことから、柴崎さんから「童話を書いて下さい」というお手紙をもらいました。象の絵本が同封されていました。
それを見たとたん、ストーリーがわいてきて、数日間で夢中になって書き上げたのがこの童話です。なぜか、書いている間中、ずーっと涙がとまりませんでした。
じつは、これは、ガイア・シンフォニーの龍村監督から聞いた実話がベースになっています(巻頭、巻末の龍村監督の文、講演記録をご参照ください)。

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著者プロフィール


天外伺朗

1942年兵庫県生まれ。
本名・土井利忠、工学博士、ソニー(株)上席常務。
東京工業大学電子工学科卒業後、ソニーの研究所で先端技術の研究・開発に携わる。フィリップスと組んだコンパクト・ディスク(CD)の共同発明者、またワークステーションNEWS、およびエンターテイメント・ロボットAIBO、ヒューマノイド・ロボットSDR-4Xなどの開発の責任者をつとめた。その経験を生かして技術評論、人材開発論にも健筆を振るう。97年より、理想的な死に方につながる光り輝く日々を追求する人たちのためのネットワーク「マハーサマーディ研究会」(TEL:03-3269-1760)を主宰。

著書
『大きな森のおばあちゃん』(明窓出版)
『意識は科学で解き明かせるか』
『「超能力」と「気」の謎に挑む』(以上、講談社ブルーバックス)
『深美意識の時代へ』(講談社)
『ここまできた「あの世」の科学』
『未来を開く「あの世」の科学』『般若心経の科学』(以上、祥伝社)
『意識学の夜明け』(風雲舎)
『宇宙の根っこにつながる人びと』
『宇宙の根っこにつながる生き方』(以上、サンマーク出版)
『宇宙の根っこにつながる瞑想法』『心の時代を読み解く』(以上、飛鳥新社)他多数。
ホームページ
http://www.mahasamadhi.jp

柴崎るり子

群馬県生まれ。(おうし座・O型)
女子美術短期大学卒業後、セツモードセミナーで風景画・イラストレーションを学ぶ。グループ展、企画展を経て、1995年よりフリーのイラストレーターとして書籍、広告の仕事に携わる。

絵本
『大きな森のおばあちゃん』(明窓出版)
『ぽんちとちりん』『ぞうのこどもがみたゆめ』(作/志茂田景樹KIBABOOK)他

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本の誕生秘話

中野の駅ちかくに「圭」という旨い食事を出す店がある。月に一度、そこで会合がある。
何度目かの時、主催者が私の向かいに座った可愛い子ちゃんを紹介した。その子、柴崎るりこさんは、恥ずかしそうに「これ、わたしが描いたものです」といって小さな絵本のようなものを見せた。見ると、なんと、奇抜な衣装とウーロン茶のコマーシャルで一世を風靡した直木賞作家の志茂田景樹との合作ではないか!
ウーン、これは素晴らしい……と感嘆久しい私に主催者が追い打ちをかけてきた。
「よその出版社から出た本に感心ばかりしてちゃ仕方がないじゃないですか。いま思いついたんだけど、彼女と誰かほかの有名人とのコンビでこれと同じノリの本を作ったらどう?」
私はいちころで乗ってしまった。
「明日でも明後日でもうちにいらっしゃい。じっくり話し合いましょう」。
彼女の反応も早かった。3日後には明窓出版で私の前に座っていたのだ。
ちょっぴり不安げな彼女に、はったり半分でえらそうなことを言ってしまった。
「どんな有名な作家さんでも、ご本人が潜在的に『こんな本を作りたい』と思っている企画を持ち込めば“よくぞ声をかけてくれた”と大喜びしてくれるはずです。そうなると、大作家ほど出版社の大きい小さいは気にしないものです。僕も考えてみますから、るり子さんも、誰に当たってみるかここは一つ大きく考えてみてください」
彼女の綺麗な瞳がみるみる潤んできた。感動してくれたらしい。
私もなんだか胸が熱くなっていた。
10日ちょっと過ぎた頃だったろうか。彼女から、OKの返事がもらえた作家さんとして天外司朗先生の名前がファックスされてきた。
「やったー!」真っ先に喜んだのが編集長の麻生だった。
恥ずかしながら私はその時点では天外先生の名前を知らなかった。ソニーの重役で、あのロボット犬の発明者だということは勿論知ってはいたが同一人物だとは知らなかったのだ。

本にする作業がガンガン進んでる最中にどっきりする話を投げかけられた。
「このストーリーを話してくれたアフリカ在住のダフニー・シェルドリックさんの財団に30万円ほど寄付してほしい。そのうちの10万円については自分達の印税から差し引いてもいいから」
天外先生のご託宣だ。
「必ず売れるから……絶対売れる本にするから……」
我が社の経理重役を必死に口説いて財団に送金。意気込みを神様が褒めて下さったらしく評判は上々である。

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関連書籍の紹介

天外伺朗「花子アフリカに帰っておいで」明窓出版( この絵本の続編です )












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