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 安岡正篤は、日本の国家主義運動史上、北一輝や大川周明らと並び称される代表的なイデオローグとして位置づけることが一面で可能であり、日本政治史および日本政治思想史上においても、決して看過することのできない重要な役割を果たした人物であった。それにも関わらず、思想史的な見地から安岡正篤の思想的特質を明らかにした研究は、殆ど無いと言ってよいように思われる。
 周知のように、安岡正篤と並び称される北や大川らの研究は、今日でさえも盛んに行われている。だがしかし、学界での安岡正篤に対する関心は比較的薄く、その学術書もいまだに出版されていない状況である。彼は、その意味において不人気であり、過小評価されていると言わざるを得ない。

目次 本文70%

前書き あとがき 著者profile 感想BBS




















立読みコーナーを設定したとき、立読みは「読んだような気になる」とて、立読みに反対する声が多かった。立読みは他社がやらず、立読み本来のよさを発揮できる……立読みについてそんな確信があった。
単に立読みといっても全部を立読みできるわけでなく、立読み範囲は決めている。立読みできると、当然ながら立読みしたい人が集まる。これが立読みの姿だろう。そして立読みした人が立読みだけで終わることはない。立読み設定についてそう思う。いま立読みは、アマゾン以外はやってない。立読みは明窓出版のお家芸になるだろう。立読みは優れた読者をひきつけ、立読みは活字離れを、立読みを通して取り戻すに違いない。














  まえがき
 近年、安岡正篤の思想が、改めて注目されているように思われる。それというのも、一九九八年は安岡正篤の生誕一〇〇周年目にあたるが、その前後から安岡正篤の旧著や彼を高く評価する本が、相次いで出版されているからである。
 安岡正篤は、日本の国家主義運動史上、北一輝や大川周明らと並び称される代表的なイデオローグとして位置づけることが一面で可能であり、日本政治史および日本政治思想史上においても、決して看過することのできない重要な役割を果たした人物であった。それにも関わらず、思想史的な見地から安岡正篤の思想的特質を明らかにした研究は、殆ど無いと言ってよいように思われる。
 周知のように、安岡正篤と並び称される北や大川らの研究は、今日でさえも盛んに行われている。だがしかし、学界での安岡正篤に対する関心は比較的薄く、その学術書もいまだに出版されていない状況である。彼は、その意味において不人気であり、過小評価されていると言わざるを得ない。
  後 略























まえがき …………………… 5
安岡正篤の略歴 …………………… 12

第一章 大正デモクラシー期における安岡正篤の民本主義
    はじめに …………………… 34
  一 「哲人主義的民本思想」 …………………… 41
  二 安岡正篤の民本主義論 …………………… 64
   (一) 「天子論及官吏論」…………………… 64
   (二) 天皇論・為政者論・民衆論 …………………… 77
   (三) 錦旗革命論 …………………… 96
   (四) 道義的国家観 …………………… 103
    むすび …………………… 122

第二章 安岡正篤の対外政策論
    はじめに …………………… 142
  一 安岡正篤の中華思想 …………………… 146
  二 満州事変・日中戦争肯定論 …………………… 161
  三 大東亜共栄圏論 …………………… 174
    むすび …………………… 191

終 章 …………………… 205

あとがき …………………… 222


























 大正デモクラシー期における安岡正篤の思想的特質はどこにあったか。最後にこの点を、大正デモクラットのデモクラシー論と対比させながら要約的に示しておこう。 
 周知のように、代表的な大正デモクラットとしての吉野作造と国家主義者の「民本主義」とは、政治の目的を人民の利益・幸福の実現におくという点では共通点を有していた。しかしながら、両者はその目的を実現する手段を互いに異にしていたのである。
 例えば、大正五年段階の吉野作造は、人民の利福の実現を目指す政策は、民意のいかんによって決定すべきであるという、民意による支配の原理を強調して、民意を無視した藩閥官僚勢力、換言すると専制的な少数の為政者による支配を批判した。そして吉野は、「民本主義」を実現する手段として、選挙権の拡大や普通選挙制、ならびに政党内閣制の実現を力説したばかりか、藩閥官僚勢力の存在を支えている貴族院・枢密院・元老などの非民主的な政治制度や慣行を廃止すると共に、立憲国民の養成を抜きにしては、国内政治の民主化は実現されないと主張した。代表的な大正デモクラットの一人であった大山郁夫も、吉野と立論の相違があったとはいえども、その要求するところは基本的には共通していた。例えば、大正初期の大山は、「近代デモクラシーの根本観念」を「シヴィル・リバティー」(市民的自由)と「ポリティカル・リバティー」(政治的自由)の二つに分類して、今後の主な課題は後者の実現にあると説いた。そして彼は、政治的権利を行使する機会は、平等に与えられるべきだとの見地から、「参政権行使上の機会均等主義」という意味のデモクラシー論を唱えて、「参政権の要求」を力説したのである。大山は、当面の課題を選挙権の拡張・立憲国民の養成・政党の民主的再編成などにおいて、その後普選・政党内閣制の実現・国民外交の徹底などを説いた。その他の大正デモクラットも、それぞれの立場から、民意による支配の原理を根幹とする民主的な政治理論に立脚して、明治憲法下で可能な限り国内政治の民主化を目指そうとしたのである。いずれの論者にも共通に見られた思想的特質は、民意による支配の原理を打ち出したこと、すなわち政策決定過程に民意を反映させるべきだと強調した点にあった。
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 他方、藩閥官僚勢力の利害を代弁した上杉慎吉や内田良平、ならびにその他の国家主義者は、天皇を頂点とした少数者による支配を強調して、主権者である天皇が直接統治する「天皇親政」によって「民本主義」が行われ、また実現されると説いた。彼らは、前者の立場とは全く異質な伝統的・国家主義的な「民本主義」を掲げることで、大正デモクラットが説く民本主義論を批判・克服しようとしたのである。
 安岡正篤は、上杉や内田らと密接に連携を保ったわけではなく、その思想および行動も、必ずしも彼らと同様に扱えない側面が多々見受けられる。だがしかし、安岡の思想的位置は、明らかに後者の流れに与していた。彼が反民主的な見地から、天皇とその「政府」の、統治上の主義としての民本主義論を唱えたことは、そのことを示していた。
 安岡の民本主義論も、吉野と同様、政治の目的を人民の利福の実現においた点では同一であった。しかしながら、両者の最大の相違は、人民の利福がいかなるものであるか、またそれを実現するための政策などの、決定権の所在をめぐる見解にあったのである。吉野作造はこの点について、「何が人民一般の利福なるかは人民彼自身が最もよく之を判断し得る」という理論的根拠から、「政権運用の終局の決定を一般民衆の意嚮に置くべき」だと主張した。安岡はこれに対して、人民の利福の内容やその実現を目指す政策の決定を、「民の意嚮」ではなく、事実上天皇とそれを輔弼する「官」ないし「爲政者」(殊に、国務大臣)にもとめていたのである。安岡の次の主張からも明らかなように、彼は一応民意を尊重する姿勢を見せていたとはいえ、民意の表れとしての民衆の「政治行動」には批判的であった。
後 略

 あ、ゴメンナサイ。立ち読み部分はここで終わりなんです。ここまで読んで下さって有りがとうございます。
 このあともっと面白くなりますから買っていただけるとすごく嬉しいです。 

















 あとがき

 最後に、安岡正篤の対外政策論の特質を、大正デモクラットの対外政策論との比較において明らかにしていくことにしよう。
 いわゆる大正デモクラシー運動の第三段階(一九一九〜一九二五年段階)における大正デモクラットの多くは、国際連盟の設立以前においては、従来の帝国主義の立場を非帝国主義的な国際主義論へと転換させるようになった。しかし、国際連盟設立後の彼らは、従来のデモクラットとしての立場を、主に民主主義者・社会主義者・ファシストという三つの方向に転換させることになったのである。
 例えば吉野作造は、従来のデモクラットとしての立場をその後も貫いた代表的な人物の一人であった。彼は内に民本主義、外に国際上の民主主義という意味の、非帝国主義的な民主主義的ナショナリズム論を提唱した。吉野はその証拠に、いまや「一九世紀の帝国主義の時代」から「国際民主主義の時代」に移行すると述べて、「国際民主主義」について次のように論じていた。    後 略

























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